平成19年度、特定非営利活動法人電子メディアと知識の箱デジコムは、年賀寄附金の助成を受け、インターネットと現実社会の危険から青少年を守るための「調査・安全対策マニュアル制作・普及啓発」事業を実施しました。
当法人は平成15年に設立以来、「インターネット」と「子ども」をテーマに活動してきましたが、ここ数年インターネットの世界は急激に変化し、子どもが事件に巻き込まれたり、被害を受ける事例が増えてきています。本年度は「ケータイ」に絞って調査を実施し、高校生グループ、IT専門学校卒業生と講師、大学生グループ、子育て親グループ等、それぞれ複数回の座談会を実施しました。また、中学・高校IT教師、IT塾講師、IT関連のNPO、地域コミュニティ専門家等で構成した委員会を開催しました。また、デジコム主体で、ブラックサイト調査や優良サイトの探索、人気サイトへの参加などを数か月行いました。調査をして判ったことは、ケータイネットはパソコンネットとはかなり違う世界だということでした。そこには子どもたちをケータイ依存症と称したくなるほどの強い魅力のあるツールが豊富に用意されていて、なおかつ複合的にリンクすることで無限にひろがる仮想社会と未知の人との出会いも手に入れることができるのです。複合的に使うのですから、大人がひとつのサイトを見てもどこが面白いのか判らないのも頷けます。
ケータイ・インターネットについて、多くの大人はカルチャーギャップがあり、現状をあまり理解していないようです。だから、この問題では子どもたちとうまくコミュニケーションできないのです。ここに子どもたちをネットの危険に晒してしまう大きな原因があると思います。
一番大きな課題は、「子どもにとってケータイネットがコミュニケーションツール」だということを、頭ではなく感覚で理解できるかという点です。
ヒアリングでは「つながりたい」と「孤独=理解されない」という二つがキーワードとしてしばしば出てきました。「ネットは聞き上手」です。何しろ、縦横無尽にリンクしたコミュニティ空間を自由自在に行き来する子どもにとって、ケータイの向こう側に関心を持って話をしてくれる聞き手は無限にいるのですから。
ケータイをやめろというのは簡単ですが、その危険を訴えるこちらの声に耳を傾けさせるには、まず目の前の子どもの心の現状に関心を寄せ、ネットのことを知ることが第一歩だと思います。
「自分のことを理解してもらいたい」という子どもたちの気持ちに、応えてくれるのがケータイの先の見も知らぬ人しかいないというのは、あまりにもさびしすぎます。
今回ご講演いただいた下田博次教授はネット社会研究の第一人者で、特に「ケータイ裏サイト」研究で高名な方です。下田先生は、「僕が一番に言いたいことは賢いお父さんお母さんを増やしたいということ」とおっしゃいました。
私たちも、最も大切なことは多くの大人がネット社会の現状を知り、ノウハウを身に付けて子どもたちとコミュニケーションを取ることだと考えています。そうすれば色々な問題が見えてくるのです。
ひとり一人の大人が、自らの責任と能力で子どもと向き合うことが、今求められています。
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